世界の衛生課題解決!リクシルとユニセフのパートナーシップ発表。

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住宅設備大手のリクシルと、子供の権利を守る国際機関のユニセフがパートナーシップを結びました。その目的は、「世界中で安全で衛生的なトイレが使えるようにすること」です。そのパートナーシップ発表会では、トイレにまつわる世界の状況や問題解決に向けた目標と解決策が発表され、後半は実際に小学生を対象とする特別講座「世界の衛生環境は今」が開催されました。

■世界のトイレ事情!
発表会では、以下のような世界のトイレの現状について、具体的に説明がありました。

●世界では3人に1人が安全なトイレを使っていない
 世界の人口は約75億人。25億人がきちんとしたトイレを使用できないそうです。ではどうするかというと、川や池、湖で用を足す人が多い。
●家の中にトイレを作りたくない
 臭いがこもったり、病原菌を媒介するハエや蚊などと接触しやすくなることを嫌がることが理由となっている。
●毎日800人の5歳以下の子供が亡くなっている
 1秒に2人が、不衛生な環境における病気によって亡くなっている。
●低所得の国の1/2の学校では安全で衛生的なトイレがない
 女子生徒は生理の処置ができないということで、学校に行かなくなってしまうケースが多い。
●低所得国ではトイレがあっても60%が不衛生で数は足りていない。
 トイレがあるとはいっても、きちんと機能する衛生的なトイレではない場合も60%。数も十分ではない。

日本では当たり前となっている安全で衛生的なトイレにアクセスできないといった人々の問題について実感させられます。

■2021年までに新たに2億5千万人がトイレを使えるようにする
これがユニセフの次のゴールです。2億5千万人というと、現在トイレにアクセスがない人の10%ということになります。リクシルは「Share Value Partner=価値を共有するパートナー」の第1弾として、そのゴールを共に実現していくことになりました。(写真は国際連合児童基金(UNICEF)事務局次長 シャネル・ホール氏と株式会社LIXIL 代表取締役 兼 CEO 瀬戸欣哉氏)

■リクシルのトイレ「SATO」が世界を救う!
リクシルのトイレと言えば、高級ホテルでお目にかかることがあるかもしれない数十万円するハイエンドのものや、一般家庭にもあるおしり洗浄や温かい便座など先進的なモデルが有名ですが、安く、安全で衛生的である「SATO」も開発しています。SATOはプラスチック製。用を足すと底のふたが開いて、500mlほどの水で下に流せます。このふたは流した後には閉じる仕組みなので、臭いやハエ、蚊などの問題も発生しません。2ドル程度で製造できるので、貧困の問題に直面している国々でも販売可能な価格設定が可能です。写真はLIXIL SATOマーケティング & テクノロジー ディレクター石山大吾氏。今回は特別講座の講師を担当した。


Photo by Atsushi Ishiguro

■リクシルとユニセフはパートナーになる理由
リクシルはその技術力で、安く、安全で衛生的なトイレSATOを生み出しました。しかし、単独で世界中のマーケット、それもまだトイレを使っている人がいないような地域にまで出ていくには課題が多すぎます。そこで、長年にわたって世界中の水と衛生の問題に取り組んできたユニセフの助けが必要でした。ユニセフは、世界のどんな場所にいる子供たちの権利にも光を当てようと活動してきており、衛生なトイレの重要性についての啓蒙活動も続けてきました。また、各国でネットワークも構築しているので、SATOを流通させるチャンネルについても見識があります。

リクシルが目的にかなったトイレを作って市場に供給し、ユニセフはいままでトイレを使ったことがない人たちにも使用を広めていく役割分担になります。この活動が成功すれば市場が構築され、他のメーカーや流通業者が参入してくることも期待されています。

■オープンな場所で用を足す感覚を体験!
今回のは、小学生を対象とした世界のトイレ事情について学ぶ特別講座も開催され、子供たちはトイレのない生活について初めて知り、それぞれ思いを巡らせているようでした。後半はマジックミラーの壁に囲われたトイレに座って、外で用を足すという感覚を体験します。
子供たちは積極的で、次々とこの特設トイレブースに入って便座に座り、プライバシーのない場所で用を足すことを想像しました。その感想はみんな「これでは無理!」というもの。やはりきちんとしたトイレが必要だと実感した様子でした。

トイレは人間の生活の基本中の基本。なるべく早く、世界中の人たちがみんな、安全で衛生的なトイレを使えるようになってほしいですね。