リクシルが研究を進める新たなAI技術が 高齢施設での排便管理をスマートにサポート

暮らしにまつわるさまざまな製品やサービスを展開している株式会社LIXILが、先日、東京ビックサイトで開催された『国際福祉機器展2019』にて、現在開発中の新しいAI技術を発表した。

それは、「トイレからのお便り」と名付けられた新たな製品。便器に搭載されたカメラで便を自動撮影することによって、わずか数秒でさまざまな形状や大きさのデータと照合して自動記録することができるというもので、まだ研究開発段階ではあるが、高齢者施設における入居者の排便管理を、よりスムーズに、スマートに、そして正確に行う画期的な製品になることは間違いなさそうだ。

入居者の健康を考えQOLを向上するために

リクシルが排便管理に注目し、AI技術の開発に踏み切ったのには、いくつかの理由がある。

まずひとつめは、年齢問わず、排便の有無や頻度、状態などを把握することは、健康な日常を維持するためには非常に重要だということだ。なぜなら、便には体の調子を確認するための情報が多く詰まっているから。年齢を重ねると、どうしても腸の働きが低下し、便秘が続いてしまうこともある。そして、それは腸閉塞のリスクも高まるとも言われている。それを回避するために、下剤を投与すれば、逆に下痢が続いてしまって、脱水症状になることもある。だから、適切な処置をするためにも、正確に排便状況を記録しておくことというのは、とても大切なこととなる。

もうひとつの理由は、現状、高齢者施設で行われているアナログな排便管理は、入居者に心理的なストレスを与えてしまう可能性があるため。高齢者施設での排便管理は、施設のスタッフが入居者にヒアリングしたり、便の形や大きさを目視して確認し、手書きで記録するという、かなりアナログな方法で行われているのが一般的だ。しかし、人に排便を見せるということは恥ずかしいことであり、年齢問わずにしたくないのは当然のこと。また、認知症などの影響で忘れてしまうなど、把握が難しくなることも考えられる。入居者の方の健康も考慮しつつ、尊厳も大事にして心理的ストレスがなるべくかからないようにしたいと思うと、AIによる自動判別は非常に有効なのだ。

AI技術の精度をアップする社員たちの熱い協力

このトイレの新機能を研究開発するにあたり、必要だったのは、お通じの画像。しかも、精度を上げるためには、なるべく多くの画像が必要だった。そこで、リクシルは社員の協力を得て、約3000という数のお通じの画像を収集したという。それは、製品開発への社員たちの理解と、高齢化社会に役立つアイテムを一丸となって作り上げたいという想いの現れに他ならない。

その画像を、国際指標であるブリストルスケールの7分類 に当てはめられるように形と大きさを判別し、自動判定できるようにデータベースに落とし込んでAIに学習させた。そして、さらにどの角度で画像を撮ったらいいのか、また便器の種類や形状に関わらずお通じのみを判別するにはどうしたらいいか、というところも同時に研究を進めていった。

まだ開発中ではあるが、現在の判定精度は80%以上だと言う。これは、高齢者施設の現場でも、十分に役立てることができる精度だが、さらに使いやすいものにするために、個人認証の仕組みと組み合わせるシステムづくりなどが、今後の課題となってくる。また、2020年春ごろからは、了承を得た高齢者施設での実証実験がスタートする。

リクシルだからこそ生まれ、そして社員たちの熱意と協力で育まれているトイレの新しい技術は、これからのユニバーサル社会を明るく照らしてくれるに違いない。