“シェアリングエコノミー”が変える“ミレニアル世代”の生き方

「シェアリングエコノミー」という言葉をご存知だろうか。モノや空間、サービスなどを個人間で共有=シェアすることで成立する経済概念で、インターネット上のプラットフォームを介するという特徴を有し、遊休資産の有効利用されることで、新たな価値を生みだすことが期待されている。

この新たな概念は“民泊”の仲介サービス「Airbnb」と個人所有の自動車をタクシーのように活用する「Uber」が誕生したアメリカ・シリコンバレーから日本に上陸。海外旅行先で民泊やライドシェアを体験したユーザーや、TV番組の影響で注目を集めていたシェアハウスに住む20代~30代を中心に人気に火がついた。現在は、宿泊施設や遊休スペースのシェアや自動車のライドシェア、お金をシェアするクラウドファンディングや仕事やスキルをシェアするサービスなど、あらゆるシーンにおいて広がりを見せている。

日本政府も新産業の創造に大きな影響を与えると期待し、成長戦略の一つとしてシェアリングエコノミーを推進。今年1月には内閣官房に「シェアリングエコノミー促進室」が設置され、情報提供や自主的ルールの普及・促進、ベストプラクティスの紹介などを通じてシェアリングエコノミーを推進。さらに地方を中心に深刻化する少子高齢化による課題解決の手段として、シェアサービスを活用しようとする動きも見られ、各地で官民共同の実証実験が行われている。先進的事例としては、自治体と民間企業がコラボ。雇用、観光、子育てなどをシェアの力で解決するモデル都市「シェアリングシティ」も登場し、千葉市や長崎県島原市、渋谷区などが名乗りをあげた。
しかし、いくつかの課題もある。普及が進まない最大の要因は“認知度”の低さ。諸外国に比べて、日本人のシェアリングサービスに対する利用意識はかなり低い。その現状を打破すべく役割を担っているのが内閣官房認定の“シェアリングエコノミー伝道師”だ。
今回は、一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局渉外部長、クラウドワークス経営企画、そして“シェアガール”という、マルチな肩書を持つ石山アンジュさんに、インタビュアー伊藤秋廣が「シェアリングエコノミーの可能性」について話を聞いた。

自らの役割を「“ビジネスとしてのシェアエコ”というよりは、“消費者にとってシェアエコ”というものが、どのように作用して生活利便性を向上させるのか?であったり、どのような生活における幸福度が向上するのか? あるいは、どのようなつながりや交流を享受できるのか?という点にフォーカスして、発信していくもの」と自覚する。

そんな石山アンジュさんは、“ミレニアル世代”ならではの価値観が、シェアリングエコノミーが目指す世界観とマッチすると指摘する。“ミレニアル”とは英語で“1000年の”という意味で、西暦が1000年代から2000年代に変わる節目に社会に出てきた、ちょうど30代半ばまでの若い世代を指す造語。小さな頃からデジタル、スマホ、SNSに対してネイティブに触れている。同時にバブル経済が崩壊した後の“失われた20年”と呼ばれる低成長期を過ごし、社会に出るタイミングでリーマンショックを体験した。

「大企業が軒並み倒産、合併を繰り返していた時期を過ごしてきました。経済成長に期待が持てないのと同時に、阪神、東北という二つの大震災を経験し、“いつ何が起こるかわからない”という不安も抱えています。就活も3.11の年に当たったので。壊滅状態でした。すべて白紙。これまで決められていたルールやロールモデルに従っていっても豊かになれると信じることができない世代なのです」

そんな彼らが求めるのが“人とのつながり”だ。誰かに対する愛情や慈悲の思いを通して、自らの豊かさや幸福感を覚えるような思考になっていったという。決してお金や物欲を満たすことで幸福を得ることはない。国際ボランティアや貧困層に学校を作ることに関心を持つのもこの世代だ。

「スマートフォンやSNSの普及により、圧倒的に関係する人の数は増えました。ところが、その一方で、単なるネット上の関係性の中では、深いつながりを得ることができないわけで、結局は孤独を感じていると思うんですよ。その反動として、シェアリングサービスが提供する、空間や時間、モノや仕事の共有が求められている。そこから人間的な繋がりが生まれていくのですから」
“ミレニアル世代”の旗手ともいえる石山アンジュさん。彼女の素顔とシェアリングエコノミーの魅力、そしてこれからの生き方・働き方について知りたい方は動画をチェック。

【インタビュー/文:伊藤 秋廣】
【構成/動画:News Pocket編集部】