夜景プロデューサー「丸々もとお」に聞く “夜景ビジネスの哲学”

今年、東京スカイツリーから望む月が特に後世に残したい名月として一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューローより、「日本百名月」に認定された。
これを記念して東京スカイツリーでは、9月1日から10月4日までの間「お月見」をテーマに名月鑑賞会やジャズライブなど様々なイベントを開催する他、展望台のカフェでは期間限定のカクテルやスイーツなどを販売。
国内はもちろん海外からも多くの観光客が訪れ、世界一高いタワーから見える名月を楽しんでいる。

このイベントの仕掛け人であり、大盛況に導いたのは夜景・イルミネーションプロデューサー兼、夜景観光コンベンション・ビューロー代表理事の丸々もとお氏。
これまで新潟県アパリゾート上越妙高をイルミネーションで飾り、ギネス認定の人気観光スポットに変えたり、長崎県のハウステンボスで「光の王国」というイベントの開催を企画し、同所の冬の売り上げを黒字に導いた「光の魔術師」だ。
その実績から、彼の元には全国の企業や自治体から夜景を活かしたビジネスの相談が年間100件以上舞い込んでいる。
そんな丸々氏に、プロインタビュアー伊藤秋廣が“夜景ビジネス”の哲学を聞いてみた。

――今回スカイツリーから見える月を「日本百名月」に認定した意図は?

スカイツリーは、天空に一番近い展望台。中秋の名月のみならず、一年を通して月の動きと常に寄り添い、唯一無比の大パノラマを共有。そのコラボレーションの素晴らしさもさることながら、月に関連する様々なイベントを行い、様々な訴求を行っているという点も評価しています。
やはり、スカイツリーの展望デッキほどの高さになると、他の展望台では見ることのできない、月の出の瞬間をこの目で捉えることができる。まさに“月の展望台”と呼ぶにふさわしい場所です。

――そもそも夜景ビジネスとは何か?

夜景ビジネスは、夜景をテーマとした観光業への貢献活動です。夜景を活用することによって、展望台の集客はもちろん、その街に滞在するお客様を増やしていくキラーコンテンツになります。そういったものをしっかり活かすことができる、“夜景ブランディング”“プロモーション”“教育活動”など様々なサポート活動を実施することで、各市町村、各施設が盛り上がっていっていただきたい。そんな思いが根底にあります。

――丸々氏の夜景ビジネスのルーツはどこにある?

ボーイスカウトに入っていた小学6年生の時に、山梨県の大菩薩峠から見下ろした甲府盆地の夜景の美しさに衝撃を受けました。それから夜な夜な家を抜け出しては一人で東京各地の夜景を見に行くような生活が始まり、それが高じて高校生の時に自らが主催した旅行サークルで日本全国の夜景を、そして大学生になって世界中の夜景を見て回りました。自分にとっては、夜景を見るという行為が、寝る前に歯を磨くのと同じような、当たり前の習慣になっていましたね。
やがて社会人4年目の転職がきっかけとなり、自分に関わる本を出そうと考えて振り返った時に、再び自分の中に眠っていた夜景に対する心地よさや思いに気が付き、それを夜景ガイドというかたちで出版。27歳の時に夜景評論家としてデビューを果たしました。夜景を評論し続けていると、演出のアイデアが自分の中に蓄積されていきますので、ここ10年ほどの活動の中で、夜景を見る側から徐々に夜景を作る側へと転換していきました。

――今後丸々氏が描く夜景ビジネスの未来、また新たな戦略は?

そこにしかない価値を創出し続けていきたいですね。私が手掛ける夜景やイベント、イルミネーションが“日本初”であったり、“世界初”のもので、しかも“そこでしか見ることができない”から、“そこに行かなければならない”という流れを作っていきます。その土地の歴史や文化を丁寧に取材しながら独自のストーリーを発掘し、それをライトアップであったりイルミネーションであったり、ありとあらゆるアウトプット手法の中から最適なプランを提案していきます。地元の人にとっては当たり前の光景なので、素晴らしいポテンシャルがあることに気が付いていないのですね。その価値を浮き彫りにしてさしあげるのが私の役割だと思っています。そして、立案した夜景ビジネスが地域に根付いた段階でお引き渡しをして、私は遊牧民のように、他の場所へと移っていく。残りの人生を費やし、ひとつでも多くの夜景のポテンシャルを引き出していきたいですね。
一方、これだけの数の美しいイルミネーションが存在する国は世界的に見ても大変めずらしいので、光の国・日本の魅力を世界に発信していきたいと考えています。イルミネーションのテクノロジーも、世界トップレベルにまで進化していますから、この技術も輸出しつつ、同時に外国人観光客誘致へとつなげていくつもりです。

地方自治体、そして様々な企業を活性化させる丸々もとお氏の夜景ビジネス。記事からは見えない丸々氏の素顔と、彼が作り出した美しい夜景の数々は動画の中でチェック。

【インタビュー/文:伊藤 秋廣
【構成/動画:News Pocket編集部】