「年間2000億円」飲食店の“ドタキャン被害” LINEを活用したキャンセル席再販の新サービス

いまやは72%を超える日本のスマートフォン所有率。それとともに進化しているのが美容室から映画館などお店の予約システム。便利になった一方で、直接お店の店員さんと接することがないため、飲食業会では直前キャンセルや無断キャンセルが増加傾向にあり問題となっている。様々な“ドタキャン対策”が進む中、24日、身近なアプリ「LINE」を使った新サービス「ダイナースクラブ ごひいき予約」がスタートした。

ある調査によると、全国2000店舗で8ヶ月間、無断キャンセルの件数を集計したところ、その数は約1万件に登ったという。こうしたいわゆる“ドタキャン”は、直接来店してくれた他のお客様を断らなくてはいないだけでなく、コース料理で仕入れている特別な食材がある場合はムダになってしまうこともあり、席数の少ない小さなお店や高級店にとっては大きな損害となっている。

インターネットといった“気軽なツール”で予約が簡単にできるようになった一方で、予約したこと自体を忘れてしまったり、キャンセルの電話をするのが面倒くさいという新たな問題が発生している。また飲食店の“ドタキャン”増加の要員として問題となっているのがインバウンド客、つまり訪日外国人のお客さん。訪日外国人の数は2013年に1000万人の大台を突破して以来、昨年はついに2400万人を超え、2020年のオリンピックイヤーに向け年々増え続けている。こうした外国人客の中には日本に来てから街中で気になったお店に入ってしまい、言葉の壁もあるため予約をしていたお店にキャンセルの連絡をしないといったケースも多いようだ。

こうしたドタキャンに飲食業会やネットの予約サービス会社も対策を進めている。予約の際に料金を前払いしてもらう事前決済の導入をはじめ、最近話題となっているのが「予約キャンセルデータベース」。事前キャンセルや無断キャンセルをしたお客さんの電話番号を登録・検索することができ、複数のお店で情報が共有されるため悪質なキャンセルを繰り返すお客さんの“ブラックリスト”となっている。またドタキャンされたお店に対し、1回につき1万円の見舞金を支払うという、いわば保険型のサービスを開始した企業も現れた。

様々なドタキャン対策がとられる中、今回のLINEのシステムを活用した「ダイナースクラブ ごひいき予約」は店側にもお客さん側にもメリットのある仕組みとなっている。お客さん側がダイナースクラブLINE公式アカウントに登録しておくと、ごひいき予約に参加しているお店で事前キャンセルや無断キャンセルが発生した場合に「席が空いた」という通知が届く。その時に自分の予定さえ空いていれば、普段は予約が困難な人気店にもその場で行くことができるというもの。
このサービスはクレジットカードの「ダイナースクラブ」がキャンセル分の食材を買い取り、自社のクレジットカード保有者に提供するため、お店自体にも損出がでない。昨日のサービス開始にあたり銀座など東京都内16店舗が登録されており、1年後には100店舗の登録を目指すという。
ダイナースクラブ会員のみに提供されるサービスという点は限定的となってしまうが、ドタキャンというネガティブな問題に対し、お店側が食材をムダにすることなくファンも増やすことが出来るという点では、これまでにないポジティブな対策となっている。

これからもネットの普及によるコミュニケーションロスや東京オリンピック・パラリンピックに向け訪日外国人の増加が見込まれる中、飲食店に限らずこれからも新たな問題の発生が懸念される。しかし、こうしたサービス提供者や利用者の双方にメリットのある問題解決策が産まれれば、より経済の活性化につながるのではないだろうか。

【文/構成 News Pocket編集部】